横浜市は先月19日、社会福祉法人「夢工房」が市内で運営する3保育所に対して特別指導監査を実施した。
兵庫県でも不正流用
夢工房(黒石誠理事長)は、兵庫県芦屋市に本部があり、全国で21の保育園のほか、特別養護老人ホーム等を運営。
運営する兵庫県姫路市の保育園は6月、勤務実態のない理事長の実母に給与を支払うなど2,750万円の不適正経理を県から指摘された。
夢工房に区立保育園の運営を委託している品川区は、区の保育方針に従わなかったとして5年間の予定を変更して1年での交代を決めた。
横浜市では、夢工房が来年4月に鶴見区で開園予定の保育園新設を8月下旬に断念した。
コスト優先で若い保育士を使い捨てか
市当局資料では、夢工房が運営する日吉夢保育園の昨年度の人件費比率は47.7%。
日本共産党横浜市議団の市内民間園決算資料分析(2013年)では、人件費率は営利法人で平均53%、非営利法人で平均71%であり、これと比べれば極めて低い人件費率であることが分かる。
子どもの保育とは無関係の本部上納金、積立金、余剰金は毎年7,000万円で、年間総収入2億円と比較して異常に多くなっている。
同保育園は市立保育園から移管して開園後9年だが、保育士の在職期間は2年未満が65%で、ほとんどが3年以内に退職している。
適正な人件費と経験年数バランスの基準を
日本共産党は9月議会で、市の定期監査で園の運営には問題ないとして、不正支出した額を返せばよいとしているのは問題だと指摘。
保育の質を保つために、同法人への移管園は市直営に戻すとともに、保育士に関して適正な人件費と経験年数バランスの基準をつくり、民間保育園を指導するよう求めた。
夢工房運営保育園への特別指導監査の主な結果
●不正および不適切な支出(決済を経ずに購入した物品類で使途が確認できないもの)は、2011年度からの5年間で、678件5,760,723円。
●私的流用の可能性が高い支出は、71件(領収書の枚数)、1,870,946円。その内訳は衣類59件、ベビーカー3件、家具6件、雑貨3件。
●統括施設長Aは、法人理事、理事長の妻、50代で、市内3か所の保育所を管理運営。
●統括施設長Aは、市内保育所の委託費等を管理する口座の通帳と印鑑を所持管理し、物品購入後、現金を引き出し。物品の中には私用利用目的で購入した可能性が極めて高いものがあった。
●高額な物品を複数保育所で按分して支出して支出の全容を不明確にしたり、領収書に実際に購入していない品名を書き加えて保育所の経費であるかのように処理していたものがあった。
▼社会福祉法人夢工房が市内で運営する保育園
ゆめいろ保育園(鶴見区)、日吉夢保育園(港北区)、 よこはま夢保育園(都筑区)
(横浜市記者発表資料より)
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