11月9日に明らかとなった横浜市立学校における「いじめ重大事態」は、福島第一原子力発電所の放射能過酷事故によって横浜に自主避難してきた生徒がいじめを受けていた問題で、あまりにも残念でならない。
被災者へのいじめであったことを、教育委員会の中ではどのように受けとめているのかが、いまだに明らかでない。
現在も多くの被災児童が横浜市内で学んでいるのだ。いじめを受けていた生徒は手記で「福島の人はいじめられると思った」と。それでも、「しんさいでいっぱい死んだから いきるときめた」と。
生きていてくれてありがとうと言いたい。
市教育委員会の第三者委員会による調査報告書が一部公開されたが、教育委員会や学校の対応について、肝心な字句が黒塗りとなっているため、詳細は不明だが、「原発事故からの避難で内面的な問題を抱えた生徒への配慮に欠け」ていた対応とし、多額の金銭の授受を把握しながら指導しなかったことを、「教育の放棄に等しいことを理解すべきである」と、委員の怒りを感じる言葉で指摘している。
教育委員会は「教育委員会・学校の対応について厳しく指摘するものとなっています」としているが、それだけではすまない重大な問題が横たわってることを本当に理解しているのだろうか。
このような中で、道徳の教科化を推進する文部科学省から副大臣と生徒指導室長と専門官が21日に乗り込んできた。報道では林市長と岡田教育長が一緒に対応している。
そして、当日の夕刻、教育委員会は「いじめ問題等の取組の徹底について 」の2本の通知を出した。
教育長名で「教職員のみなさんへ」もう一つは、人権教育・児童生徒課長名「学校長 校長代理」宛である。
「教職員のみなさんへ」には、「校内体制に不備がないか再点検して」とある。
いじめ問題等への取組について、学校内での体制問題に絞られていってはならないという思いを持った。
また、「学校長」への通知では、2013年12月に策定した横浜市いじめ防止基本方針は、機能していなかったということなのかということと、警察からの金銭の授受があった報告があっても、そのことを深刻な問題と受けとめられなかった様子は、学校だけではなく、教育委員会にもあったのではないかという点が、明らかになっていないと感じた。
今、横浜市内の学校では、別の2つの重大事態が起きているということである。
命と尊厳が守られる対応が行われるよう、わたしたち自身の取組が問われている。