みわ智恵美

三輪 ちえみ
日本共産党横浜市会議員
議会で 駆けある記

後期高齢者の安心はどこへ―神奈川県後期高齢者医療広域連合議会で

2017年4月4日

3月28日(火)、神奈川県後期高齢者医療広域連合議会の第1回定例会が相模原市内で開かれた。

横浜市からはみわ智恵美(横浜市選出7人のうちの一人)、三浦市議会の石橋むつみ議員が出席。

後期高齢者を狙い撃ちにした負担増に対する批判を私たちは正面から行った。定例会では、一般質問に石橋むつみ議員(一般会計予算反対討論、陳情への賛成討論)が、保険料軽減特例の縮小議案への質問と反対討論を行い、私みわ智恵美(特別会計予算への質問と反対討論)は、保険料軽減特例廃止・縮小に伴う、広域連合独自の負担軽減等を求める論陣を張った。

議事録メモを紹介する。

みわ智恵美は、保険料軽減特例縮小の県独自の代替措置を要求!

◎私は、後期高齢者医療の保険料軽減特例を廃止・縮小する条例の一部改正案について質問。

今回の条例改正について重大なことは、低所得層が後期高齢者では圧倒的多数であるにもかかわらず、この低所得層に対する軽減特例措置を廃止し、負担を増やそうとしていることだと批判。

保険料軽減特例措置は制度発足時から実施せざるを得なかった

政府は、後期高齢者の保険料軽減特例を段階的に縮小し、2017年度より「原則的に本則に戻す」としていたものを、昨年12月22日の社会保障制度改革推進本部の「今後の社会保障改革の実施について」の決定では、後期高齢者のおかれた実態の深刻さから、所得割の軽減特例及び、被扶養者に対する軽減特例のごく一部の廃止・縮小を決める事しかできなかったと指摘し、この保険料軽減特例措置が制度発足時からなぜ実施せざるを得なかったのか、連合長の認識を伺った。

さらに、保険料軽減特例は、75歳以上の高齢者を他の世代と切り分けて別の保険制度に囲い込んだがために、低所得者へのさらなる保険料軽減により制度維持を図り、予算にも、「円滑運営臨時特例交付金」と名前が付されているように、制度の円滑化を推進するために導入されたものと指摘。

『低所得者に、一定配慮を行うべき』との意見もあった」ー政府の社会保障審議会で

そして今回、とうとう、高齢者へのあらたな負担に踏み込もうとしているとして、この間、社会保障審議会等では、どのような議論がなされたと、連合長は聞かれているのか質した。

加山連合長は「社会保障審議会等での議論では、『世代間の公平の観点から、段階的に本則に戻す』方向性を支持する意見が多かったが、『低所得者に、一定配慮を行うべき』との意見もあった」などと答弁。

全て本則に戻した場合の影響は、均等割が36万1,000人、所得割が8万200人、総額46億7,400円

また、今回の軽減特例措置の縮小・廃止で、神奈川県広域連合内での直接影響を受ける所得割の軽減特例の見直し対象者は、80,189人。影響額は約6億円。また、被用者保険の元被扶養者で均等割での影響を受ける方が36,012人、約2億6千万円の新たな負担増と指摘。直接影響を受ける被扶養者のモデル試算、全軽減特例を原則本則に戻した場合に影響を受ける被保険者数と影響額について質した。

加山連合長は「被扶養者で8.5割軽減の方が8,100人で、保険料が4,342円から6,514円に、7割軽減になる方が2万7,900人で保険料が1万3,028円に、9割軽減のままの方が1万7,300人。また、全て本則に戻した場合の影響は、均等割が36万1,000人、所得割が8万200人、総額46億7,400円」と答弁。

県内でも低所得者に対する軽減特例で、何とか制度自体が維持されているのが現実

さらに、現在、政府に対し保険料軽減特例措置の継続を求める広域連合議会や、市町村議会からの意見書の提出状況、保険料の軽減特例措置見直しによる被保険者負担増を軽減するため、独自に財政措置を行っている広域連合の有無、東京都広域連合が実施している保険料負担抑制策や全国的実例等について質した。神奈川県内でも低所得者に対する軽減特例で、何とか制度自体が維持されていると指摘し、2016年6月時点で、均等割9割軽減と8.5割軽減の方で31.02%、被扶養者で均等割の軽減特例の方が5.4%。軽減特例の廃止・縮小は、大勢の高齢者の生活を直撃するとして反対し、現行制度を維持するよう国に求めるべきと、連合長の決意を伺った。

国に軽減特例措置維持を要求すべき

加山連合長は、「『世代間・世代内の公平』『負担能力に応じた負担』の観点から見直されるもので、いずれも急激な負担増に配慮し、段階的な見直しになっている。制度の持続性を高める観点から行われるもので、必要な見直しであると考えている」などと答弁。

石橋むつみ議員、軽減特例を廃止しないことが、本当の激変緩和と追及!

◎石橋議員は一般質問に立ち、議会の開催日程について苦言を呈した。東京、大阪、北海道、京都など大規模のところや首都圏の広域連合議会の議会日程は、1月から2月初めにかけて予算審査としていると指摘。市町村の予算議会の前に広域連合議会の審議があってしかるべきと主張。年度末までわずか数日では、よもや日程消化の為とは言わないが、予算議会日程を早めるよう連合長の見解を質した。

加山連合長は「市町村の議会の日程を考慮すると、この時期に開催せざるを得ない状況」と答弁。

負担増が受診抑制を招き、重症化でかえって医療費が増える

さらに、高齢者の負担増について、軽減特例の廃止にとどまらないとして、年金の0.1%カットの上、前期高齢者の窓口負担増、「高額療養費制度」を、今年8月から一定収入のある70歳以上を対象に引き上げ、療養病床入院の65歳以上には、居住費を値上げし、食費と合わせ月52,500円もの負担を課すと告発。75歳以上で年金収入が年80万円以下の人は4割を超え、所得階層別で見ると、2016年度の被保険者972,798人の内、55%が所得なし層。所得無しも含め所得150万円未満の層が796,550人で82%を占めるなど、圧倒的に低所得者層の割合が大きいと告発。負担増が受診抑制を招き、重症化でかえって医療費が増えると批判。高齢者に的を絞っての負担増だとし、負担増に応じられないなら受診や医療の内容を控えよと言われているのと同じと批判。見解を求めた。

加山連合長は「今回の制度改正は、世代間の負担の公平性、負担能力に応じた負担、といった観点から行われ、制度の持続性を高めるために見直されるもの」などと強弁。

高齢者の単独世帯、高齢者の二人世帯、高齢の親と未婚の子のみの世帯の合計が、76%と倍以上に増えているー高齢者の生活実態

また、高齢者の生活実態について触れ、厚労省の「国民生活基礎調査」等によると、高齢者の単独世帯、高齢者の二人世帯、高齢の親と未婚の子のみの世帯の合計が、76%と倍以上に増えており、高齢者の孤立と貧困問題の元になっていると指摘。多少の蓄えが有っても、思わぬ事故や病気、災害にあえば、ほどなく貯金が底をつき、親戚付き合いを無くし、家を失い・・・という危険が広く存在しており、” 老後破産”” 老人漂流社会”という言葉が広まっていると告発。2012年12月、国連総会で「支払い可能で利用可能な質のよい保健医療サービスの提供を各国政府に強く求める」決議が採択されたが、日本は世界の流れにも逆行と批判。軽減特例見直しの影響は生易しいものではないと、高齢者の生活実態について伺った。

神奈川県の高齢者一人当たり所得は高い方から 2番目ー連合長

加山連合長は「高齢者の生活実態については、平成27年度の厚生労働省の統計によると、 収入から公的年金等控除などの必要経費を除いた、本県の1人当たりの所得額は、118万1千円で、全国で高い方から数えて2番目。なお、全国平均は、80万4千円。また、所得に対する保険料の負担割合は、7.5%で、全国で低い方から数えて3番目という状況」などと暮らしに寄り添う姿勢なし。

さらに、激変緩和と言っても、国は2017年度から原則本則に戻す・・・という方針を変えず、数年かけて予定通り負担を増やす方針と批判。大本にあるのは、「医療崩壊」を引き起こした旧・小泉政権を上回る社会保障の削減路線。社会保障予算は、概算要求段階で削られた自然増をさらに1,400億円圧縮し、予算の自然増は4,997億円増に抑制されたと批判。保険料軽減特例の見直しによる190億円負担増もこの一環と批判。「高齢者に配慮しての激変緩和」というなら、制度開始から、軽減特例無しには事業が成り立ってこなかった訳だから、特例を廃止せず継続することこそ「激変緩和」ではないのかと追及。

加山連合長は「3年間かけて見直しを行うもので、負担の急増に配慮した、妥当なもの」と答弁。

今後の高齢者医療のあり方について取り上げ、医療保険料の連続負担増は、今でも限界として、根本の解決方法は、憲法に基づいて、国が社会保障の財源をささえること、国民が憲法25条にある、生存権を享受しながら、差別と負担増の制度は廃止し、元の老人保健制度に戻すべきと主張した。


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