9月17日付けの神奈川新聞に、平和への静かで力強い発信をしている記事を2つ読んだ。
一つは、「地域版」に掲載された横浜の「九条の会」12年という記事。憲法守り生かしたいと、12周年を迎えた「本牧・山手九条の会」が横浜開港記念館で行った記念のつどいに約50人が集まり、日本の憲法を守り生かすための方策を考えた、と報道したもの。
ドイツ文学翻訳家の池田香代子さん講師の講演会。「憲法保守という立場〜憲法と私〜」と題して、難民受け入れに積極的なドイツのメルケル首相について、「憲法に明記されているため。保守主義者だから憲法を守っている」と評したと。
日本も本当の保守が自民党の議員にいなくなったとよく言われるが、そう言うことかと、納得がいった。
記事の中で、同会の事務局長さんが、「北朝鮮の行為は到底許されないが、安倍政権は米国に対し(北朝鮮との)対話を強く求めるべきだ」と強調されているが、その道しか今危機打開への道筋は無いと私も思う。
もう一つは、「読者・意見」版に掲載の、「紙面拝見」の神奈川県体育協会小野力専務理事さんの「戦争の記憶を後世へ」という記事。
1943年10月21日の雨の明治神宮外苑競技場(現在建設中の新国立競技場)での出陣学徒壮行会(徴兵猶予とされていた学生が徴兵されることになり、戦場へ送り込む壮行会)で、東条英機首相の訓示の後に答辞を読んだのが江橋慎四郎先生(97)だと初めて知ったという、神奈川新聞の記事を読んでの驚きから綴っておられる。
ご存命の江橋先生が、終戦後東大に戻り、体育、スポーツ、レクリエーションの普及、振興を通して平和を愛する人材の育成に献身されたということを紹介されながら、90歳を過ぎるまで戦争に関することには口を閉ざしてきたこと。
「多くの学徒が命を落としたのに『生等(われわれ)もとより生還期せず』と答辞で応えながら命を永らえたため」とこれまでの生き方が記してあったと。
小野力さんは、江橋氏が「参加者が平和の尊さを味わうことが五輪開催の意味」2度目の東京五輪を迎えるにあたり「もう一度平和の重さを感じてほしい」との訴えを紹介されている。
そして、神奈川新聞が「凄惨な戦禍の記憶を伝え、不戦の誓いを次世代にどう継いでいくのかと提起」していたことを大切に思い、「戦争の記憶を風化させないためにも引き続き関連記事の掲載を期待する」と結んでおられた。
本当は、江橋氏に、もっと戦争体験を自分たちにも、若者にも語って欲しかったと思われたのではないだろうか。
私たち世代が、戦争体験者から戦争の実態を聞ける最後の世代と言われて久しい。体験を聞かせていただく場を私たちこそが設けなければならない責任がある。