みわ智恵美

三輪 ちえみ
日本共産党横浜市会議員
駆けある記

医療現場から見える子どもの貧困―全体会で第9回生活保護議員研修会③

2017年8月26日

全体会での講演2つ目は医療現場から。

医療の現場から、子どもの貧困問題に迫り、私たちに問いかけたのは、小児科医の和田浩さん。

貧困層の子どもは不健康である。特に10代で格差が大きくなる。

日本の小児科医に、貧困と子どもの健康についての意識がない。貧困層で、入院・喘息が多い。

貧困は虐待の要因となる

虐待129例の背景(2003年北海道)

離婚 77.3%  経済問題 72.3%  子どもの障害 59.7%

社会的孤立 49.6%  解雇・失業 42.9%  親のメンタルヘルス 39.5%  家庭内暴力 26.1%

貧困問題の取り組み

・2009年、自分の患者さんの中に貧困問題が見えにくい。どうすれば見えるのか。

・2010年、外来小児科学会でワークショップ「子どもの貧困を考える」開催。

・印象に残った発言「提起通院に来ない場合に『貧困があるのでは?』と考える必要がある」

ぜんそく発作で受診の子ども。予約に日に来ないのは経済的に大変なのだ▷窓口無料が必要と実感!

まずは医療にかかってから、お金の相談をする人はいない。お金がなければ医者にいかないで、立ち止まっているのが、現実である。

このお金で家族の食事の材料を買うか、医者にかかるかで悩む家庭があるのだということ。

母26歳。兄弟3人発達支援 本人3歳多動。家族7人で2DKに暮らしている。母親は週4日、午後8時から早朝2時まで働いている。大変そうだけど具体的には見えない。

①患者さんからは言ってくれない

それならこちらから聞いてみる

②他の困難も抱えている

あなたのことを心配しているよという「文化」にしていく

③1人では見えない

スタッフで共有して見えてくる。絵本を読んであげる。

なぜ「助けて」と言えないのか?

1、自分は助けられるに値する、生きるに値する人間であるという自己肯定感

2、他人や社会に対する最低限の信頼感。

惨めな思いをいっぱいしてきた。生活保護で生きちゃおう。相談すれば何とかなると思える。相談してもばかにされない。何処に相談すればいいかを知っている。

困難を抱えた親は どんな人たちか?

貧乏だけど健気な親子というイメージからはずれる親子も多い

助けてと言えないコミュニケーションが苦手

援助する側にネガティブな感情がわくとき、相手は何か困難を抱えていて、多くは貧困も抱えている。

援助する私たちに必要な力とは?

深く理解する。発達障害について学ぶ。1人で抱え込まない。チームで対応。

医療者に何ができるか?

1、相談にのる 2、つなげる 支援団体などにつなげる

3、自己肯定感を育てる 4、物資・食料援助など

5、調査・研究・提言

貧困そのものを無くす「根治療法」=税制・雇用・教育・社会保障などの改革が必要。

⑤子どもの医療費窓口無料化

来年から、長野県は中3年まで無料になる。一部負担500円が、診療でも薬局でもかかるので、1000円いる。

学校、保育園で一斉健康診断が行われて、「医者に行ってね」と言うと「はい」と言うが、実は1000円しかないので、医者に行けない。500円が医療ネグレクトをおこしている。

窓口無料をめぐっては

・子どもの病気に500円払えないで医者にかかれないという事はないだろうと思っている。

・最貧困層は生活保護で救済をと言う。

・コンビニ受診が増えて医療崩壊になる。

500円ぐらい払えるだろうという意見について

・お金がなくて病院にかかれない子どもは決して少なくない。

・それも医者の側から尋ねなければ分からない、

○お母さん体調くずして仕事を辞めた。「お金が無いので、振り込まれたら払います」なきながら会計をしていた。○受診しないといけないのは分かってる。でも、今財布に1000円しかないの」○夫からの暴力で離婚調停中。パート収入で食べるのも困る生活。「支払いは今度で良いよ」薬局「うちも慈善事業じゃないんで、払ってもらわないと」

アンケートで「お子さんの医療費を負担に感じ、医療にかからなかった、中断したことはありますか。」に対して、17%が「ある」と答えている。

窓口負担が貧困層を医療から遠ざける

◇子どもの病気の多くは風などであるが、中には重症なものもある。

◇軽症であっても親は不安。

◇非貧困層は負担があっても受診する。

◇経済的ハードルでの受診抑制は、貧困層だけを医療から遠ざける。

◇喘息や発達障害のように根気よく通院する事が必要なものを中断させてしまう。

さて、窓口無料だけで解決する訳ではない。

ダブル・ワーク、トリプル・ワークで子どものために使う時間がない。派遣労働「こんどやすでは?

小児科医と議員はどう連携できるか

政治的な立場を超えて共同できるテーマ。

学習会やシンポジウムを共同で開催。

まとめ

◇貧困は子どもの身体に悪影響を及ぼす

◇医療費窓口完全無料化を

子どもの医療費無料制度は、将来の私たちみんなの社会を支える次世代を、健康に育成していくための重要な制度である。

すべての子どもを対象にするべき理由はここにある。貧困者救済ではダメ。見えないでこぼれる数は膨大だ。健康な社会を作るための投資である。

和田先生は、医療機関と患者さんの協力を得て行ったデータをもとに話されており、現場からの日本の子どもの貧困対策がいかに貧弱であるのかを告発された。

そして何よりも、子どもの医療費無料化は、私たちみんなのためであること。だから社会の責任なんだということ。

横浜市は、3年生までだった子どもの医療費助成制度を、4,5,6年生まで引き上げたが、この新しい対象者には、500円の一部負担金を実施している。

500円が重くて医者にかかれない家庭に思いをいたすべきである。

これまで無料だったのに、負担が発生するところで医者にいけなくなる家庭が、1家庭でも出てはいけないのだ。

そして、金銭的理由で医療にかかれない子どもを一人も出してはならない、社会の損失に繋がるとの思いをしっかり持つことである。

 

 

 

 

 


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