女川に入って。
明暗を分けたもの
住宅のひな壇、家の土台だけが並んでいる。激しい力で街が奪い取られたような。少し高台には残った家が見える。
そんな街の中に残る壊された鉄骨の建物。建物の中はすっかり無くなっている。その屋上に車がのっている。
住民の避難
どのようにして街の人たちは逃げたのだろうか。逃げることが出来た人たちは何を見たのだろう。
3階建てでも津波は襲いかかっていたことが充分に分かり、その恐怖を思うと言葉を失う。
住民の方なのか、そのお知り合いなのかリュックを背負った方が2人、下を見ながらその中を歩いておられた。
海岸の近くはまだ破壊されたままの状況で、また急な崖地でも捜索活動が行なわれていた。
そこにはくらしが
子どもも大人も、大切な一日一日が続けられていた街の家々とくらし。町の人が行き交い言葉を交わしあっていたお店。それらが全部根こそぎ津波によって奪われ破壊された。大切なものがばらばらにされ、ごちゃごちゃにされてうずたかく積まれている。
新しい一歩をー希望が
その中で、一軒の工場で中をきれいに洗っているところが見えた。中で働いている人たちの強い意志のみなぎった表情から、ここでまた仕事を始めるんですという思いが伝わってきた。
鳥の鳴き声が聞こえて、目を見張った。ツバメだ。
動物は安全なところを,人がいるところを鋭く見つける。破壊された街の中で希望が見えた瞬間だった。
どうかどうかお気をつけて。壊され奪われた街で、立ち上がる人の姿に、ものすごい勇気をもらった。
人災は二度と起こさない
この街から10キロも離れていないところに女川原子力発電所がある。この人たちをもう一度苦しめるような人災だけは絶対に起こしてはならないと強く思った。