去年12月9日に、いじめ被害生徒の教育委員会へのお手紙が生徒保護者代理人から公開された。
教育委員会への個人的な手紙として書かれたもので、「苦しくても、生きていれば、こういう思いを伝えられる、そういうことを伝えるためにも、公開します」としている。
「お父さんとお母さんから、どうしてこうなったのか教育委員会が調べてくれるって聞いたけどものすごく時間がかかっているし、僕はこれからどうすればいいのか。」
「新がたのいじめをテレビで見たけど、あっちは学校の先生があやまっているけど、どうしてこっちはあやまってくれない」
被害生徒は今も、学校に行きたいのに行けない。
謝罪もされない。現在もこの手紙に託された思いに寄り添った市や教育委員会の取組となっていない。
被害生徒の教育を受ける権利を保障し、全ての児童生徒が学校で安心して過ごすことができるよう教育委員会は責任を果たさなければならない。
いじめ防止対策推進法には、いじめは、児童・生徒の間で起きていて、その行為の「対象となった児童等が心身の苦痛を感じているもの」と定義している。
この事件では、蹴られたり、ものさしでたたかれたり、階段で落とされそうになるなどの暴行があり、その加害児童が被害児童に対して金員を要求している。また、被害児童は心身の苦痛を訴えている。
法に示されている通り「いじめ」である。
このいじめ事件当時から、市教育委員会は国のいじめ・暴力・不登校の調査において、学校内のいじめ調査で事実確認を求めている。その結果、全市のいじめの数が対前年度比約24%も減っている。翌年も更に前年比約24%減である。
このようなやり方で、学校内でのいじめの早期発見やいじめ認知が消極的になっていなかったと言えるのだろうか。
この事件についても、いじめの早期発見を行いすぐに対応していれば、被害を食い止めることもできていた。
加害生徒への教育的支援もできていた。
今回のいじめ重大事態の調査を行った横浜市いじめ問題専門委員会は、
「教育上必要なことは、“真実の解明”ではなく、事態が起こった状況を詳細に理解し、そのことが、教育上問題であるとすれば適切な指導を行うことである」としている。
又、何よりも被害生徒を長い間、いじめの事実を認められないまま苦しめ、被害者なのにお金を自分から出したと「被害児童が悪い」と言われたままで苦しめ続けた。
そして今も、不登校のままである。
岡田優子教育長が今月20日の市議会で、「同級生らの話などから、金品の授受についていじめという結論を導くのは難しい」と答弁。生徒の代理人は発言の撤回を求める申し入れを行った。
林市長は、25日の定例の記者会見で、教育長の答弁を一部擁護しながら、「生徒が苦しい思いをしているのに、丁寧でない、主旨を間違ってとらえてしまうような大変申し訳ない発言だった」と述べた。
市長は申し訳ないと言っているが、謝罪にはなっていない。
市長は、今、150万円を一方的におごらされたこと自体がいじめではないか、何故認めないと大問題になっているのに、金を払わされた行為をいじめと認定するかどうかについては、再発防止策などを検討する委員会の議論を見守ったうえで、対応する考えだと述べた。
いじめがあったとの前提で、被害児童の立場にたっての検証や、防止対策の検討でなければ、検証も検討も意味がないと思う。
今年1月10日法に則った所見が被害生徒保護者代理人から出されたが、それに被害児童が横浜市長に宛てた文書を出している。
「またいじめが始まると思って、何もできずにただ恐くて仕方なくて、いじめが起こらないようにお金をだした」
「お金を取られたことをいじめとして認めて欲しい」
「好きでお金をだしているわけじゃないのに先生は俺のせいにするの?」
「前みたいに普通に外を1人で歩いたり勉強がしたい」
「早く引っ越しをして自由に走りたいし、引っ越しできたとして引っ越し先の友達と遊びたい」