岩手県盛岡市で開催された、「第50回公的扶助研究全国セミナー2017.11.10~12」に参加。
「人権宣言を提案する」
開会あいさつは、吉永純全国公的扶助研究会会長。
津久井やまゆり園の事件を、犯人を簡単に批判できるかもしれないが、いま私たちに求められているのは、現実を取りあげ、では、どうすればこのよう事件をなくせるのかに取り組むことだと語られた。
「人権宣言を提案する」として、障害がある方の命の輝きを実感できたか、体験できたかが私たち自身に問われていると訴えられた。
ノーマライゼーションという言葉が必要の無い街に
特別公演は戸羽太岩手県陸前高田市長による「岩手県陸前高田市 震災から6年の今」
津波がどこまで来るか全戸配布もし海岸線から2キロの市役所の路面に50センチの水深の津波とのシュミレーションもされていた。
だから、市民は大地震で必ず津波が来ると行動した。
ところが15メートルが来た。ここに逃げれば安全とされていた場所に避難していて、多くの人が犠牲となった。
住民23,300人(2010年の国勢調査)のうち1,700人が犠牲となった。
市職員や消防団の犠牲が大きい。臨時の方も含めて400名の職員のうち111名が犠牲となったとのお話に、改めて激しい衝撃を受けた。
一人ひとりは、お父さんでありお母さんだった。
40名以上の子どもさんが孤児となった。片親喪失は150人に上る。
「ノーマライゼーションという言葉が必要の無い街にしたい。一人だって取りこぼしたくないと」の思いは、あまりにも多大なる犠牲を体験した市長の言葉だからこそ、強く深く、激しい。
みんなが社会的弱者になった。今ついてこられない人がいる現実。一人ひとりが人生を謳歌できる街にしたいと、夢を語られた。
かつてみんなが津波の犠牲に会った仲間だったのに、今1,900人が仮設に住んでいる。6年たって取り残されている感覚。
高齢の独居の男性が一番大変。買い物にも行けない、世話になるのもダメ。
課題先進地陸前高田は、現実を受け止めて、人々の求めている満足度を。
障害があるという言葉も、みんなのものだと。目が見えないのは、見ることが不得意な人、聴覚障害は聞くのが不得意な人ですと。現場が分からない人がルールをつくっている。枠の線は誰がどういう思いを持って引いているのかを、再考したいと思った。
「いのちとくらしを守る地域福祉の方向性を考える」
記念講演は、明治学院大学の河合克義先生。
「いのちとくらしを守る地域福祉の方向性を考える」と題して、これまでの調査や取組を紹介された。
私が、今、公的扶助の課題で取り組んでいることの一つである住まいの問題でも高齢独居の課題で話された。
港区での河合先生が参加しての取り組みは、NHKテレビでも紹介され私も視ていた。
改めて、公的ヘルパーの重要性が浮き彫りとなった。
また、先生がパリで、月に何回親などの家族と食事をしているかとの問いに、フランス人は月3回と。日本は、正月の三が日を一人でいるという高齢者が都市部で3割、地方でも2.5割から3割弱と紹介された。
自分の胸に手を当てて、年に一度だなと胸が痛くなった。
「貧困と剥奪された人権を考える」~都市部と地方の孤立の実態から~
記念シンポジウムは「貧困と剥奪された人権を考える」~都市部と地方の孤立の実態から~と題して行われた。3人のシンポジストで行われた。
私は、横浜市営ひかりが丘住宅で行われた、住民2300人への悉皆調査で見えてきた高齢者独居の実態と、それによって介護保険にもつながった事態を大変重要な取り組みととらえているわけだが、河合先生の「介護なし、福祉も医療もつながっていない方を4000人全数訪問して初めて、地域で起こっていることが見えたとのお話に、力づけられた。
どこでも、市営住宅でまずやるべきとの私の提案は、必要な施策だと自信を持った。それでこそ行政が地域の実態をつかめると。
実態をつかみたくないというわけではないだろうが・・・。