神奈川県教育委員会総務グループ FAX 045-210-8920 企画調整グループ FAX 045-210-8024
宛てに、以下 ファックスしました。
神奈川県教育委員会委員長
具志堅幸司様 2013年10月16日
「はだしのゲン」を子どもたちの身近なところに
この夏、第二世界大戦の終戦記念日を迎え世界の平和を願い祈る時期に、マンガ「はだしのゲン」の閲覧制限を松江市教育委員会が行ったということに対して、広島県知事広島市長を初めとして全国から、原爆や戦争の実相を知らせる図書の閲覧制限に、驚きと抗議の声が殺到しました。
松江市議会でも、「表現に若干過激な面もあるが、全体として戦争の悲惨さ、あるいは平和の尊さを訴えているものと思っている。・・・平和教育の参考書として捉えられている側面が非常に強いようである。」などの判断で「松江市の小中学校の図書館から「はだしのゲン」の撤去を求めることについて」の陳情を全会一位で不採択しています。
全国の図書館でつくる日本図書館協会は8月22日、「自主的な読書活動」を尊重する観点から、閲覧制限の撤廃を求める要望書を松江市教委に送りました。この要望書には、米国の図書館協会が年齢による利用制限を「目立たない形の検閲」としているのを引用し、市教委の対応を批判。「読みたい子どもが教師の許可を求めるのは心理的負担が大きい」と指摘し「学校図書館の自由な利用がゆがむことが懸念される」としています。このような全国からの抗議の前に松江市教育委員会は閲覧制限を撤回しました。
ところが、10月4日付の産経新聞によれば、10月3日に開催された神奈川県議会文教委員会において、県内小学校の「はだしのゲン」の学校図書における閲覧について議員からの質問があり、教育局として「小学校低学年など発達段階によっては一定の配慮は必要」として、今後の対応を検討する方針を示したとの答弁がおこなわれたことが報道され驚いています。
この事態に神奈川県教育委員会はどういう対応をとられるのか、国際都市神奈川としての判断が注目されていると思います。
「はだしのゲン」は子どもたちがこれまでにも戦争について原爆について子どもの目線から伝え、戦争体験者の被爆者の生の声を伝えるものとして、その子どもなりの受けとめる力に応じて読まれてきたものです。しかも2007年の安倍政権では、ウィーンで開催された「核拡散防止条約(NPT)再検討会議」の準備委員会で、官僚からの指示ではなく麻生太郎外相が音頭をとって「はだしのゲン」の英語版を会場内に展示して、各国の代表に配布して、原爆の悲惨さを伝えて核軍縮を訴えるということが行なわれたのです。
このような平和図書を子どもたちが自由に読むことができないような、表現の自由を犯し、真実に目を背ける判断を教育委員会がされるはずは無いと確信しております。 神奈川県教育委員会が、次の世代に戦争の悲惨さ、核兵器の非人道性を伝えることのできる貴重な読み物であることを判断され、表現の自由を守り学校図書における閲覧制限措置等の時代遅れな判断をされないよう切望いたします。
2013年10月16日 港南区教育を語る会 代表 三輪智恵美 横浜市港南区