先日、購読している新聞に小学生の時に被爆の体験をお話してくださった先生の「お悔み」が掲載されていた。
広島市で私が小学生の時には、8月6日の広島原爆の日は学校に行き、被爆者のお話を聞く平和教育があった。その時お話してくださったのは私たちの音楽の先生。私が教員になったときに、その先生の息子さんがいわば同僚となり、感激の対面をした記憶がある。
しかし、その被爆2世である息子さんの訃報をほどなく聞くこととなり、先生の悲嘆はいかばかりかと胸をかきむしられた。
あれから、30年近くを経て被爆体験をお話してくだった先生の逝去を知ったのだ。私の中にある原爆核兵器廃絶への思いを育てたのは、まぎれもない先生だ。音楽を愛する笑顔の優しい素敵な先生が、戦争の原爆の無慈悲さを、幼い私たちにも穏やかにきちんと伝えてくださった。
その先生がわが子を早くに亡くされた苦しみ悲しみを改めて想い、戦争はダメ、核兵器廃絶への決意を新たにした。先生ありがとうございました。安らかに。息子さんと会えますねと声をかけた。